貸株を始めて一週間が経つ。
これは長期投資と同じで短期的にどれくらい利益が出たとかいうことはないので一週間経過したからと言ってこれといった報告事項もないのだが、今回は貸株を始めるときに疑問に思っていたことを少し考察してみようと思う。
それは貸株金利が異様に高い銘柄とはどんな銘柄なのかということである。
通常、貸株金利は年利0.1%である。
だが中には高配当利回りを超える貸株金利の銘柄がいくつか存在する。

これはカブドットコム証券の貸株金利にボーナスのついている銘柄上位一覧だ。
トップの3990 UUUMは貸株金利10%だ。
通常長期投資におけるインカムゲインの目安は企業が株主に配る配当金で、配当利回りを見て予測を立てるわけだが、この配当利回りは5%を超えれば大したものだ。
このUUUMは現在配当金を出していないので、いくら持っていてもインカムゲインは得られないのだが、この株を買って証券会社に貸し出せば、証券会社が年利10%を払ってくれる。
果たして金利目当てで長期投資の買いを入れても良い物かどうかファンダメンタルを中心に分析してみることにした。
UUUM会社概要
UUUMはユーチューバーの動画制作サポートの会社である。
所属タレントにはHIKAKIN、はじめしゃちょー、SEIKINと有名ユーチューバーが多数在籍している。
ユーチューバー専門のマネジメント事務所としてテレビでたびたび紹介されているので名前を知っている人も多いだろう。
収入源としてはYouTubeからのアドセンス収益と企業からの広告料がある。
近況
所属するユーチューバーの動画再生回数が総じて伸びており、アドセンス収益が堅調。
小規模ながらグッズ販売も始め、売り上げが伸びている。
投資としては文章や写真の投稿サービス、「note」に出資。
非動画系にも最近力を入れている。
ファンダメンタル分析
業績推移

貸株金利10%。貸す側がめちゃくちゃ得する金利。
言い換えるとそんな高い金利を払ってでも機関投資家は借りて売りたいと思っているということである。
一体どんなひどい状況なのかと思いきやぱっとみのファンダメンタルはそこまで悪くない。
いや、それどころか2015年の赤字決算以来、業績はずっと黒字だし当期利益も倍々の勢いで成長している。
かなり優秀である。
2020年5月の業績予想は純利益こそ8億8000万円と微減であるが、売上高、営業、経常利益は伸びている。
高止まりした印象が強いのでここから買っていこうという気にはならないがホールドするには十分な業績である。
PER・PBRは信じられない高値水準
株価がどれくらい割安かを示すPERとPBRは共に信じられないような高値水準にある。
まず1株当たりの株価が当期利益の何倍になっているかの指標であるPERは2020年5月の予想が107.4倍
1倍を切れば割安とされる株価を1株当たりの純資産で割ったPBRは33.26倍という値になっている。
つまりは業績以上の過大評価されている銘柄と言える。
過大評価されているということはその評価がなくなったり、期待が薄れ、投資家の目が他に向けば高成長を維持していたとしても大暴落を起こす危険をはらんでいる。
いくら好業績でもこれだけ割高のサインが出ていると買っていけない。
貸株金利が高い理由は業績ではなく過大評価にあった。
資金繰り
お金の使い方のうまさを示す指標、PERは38.3%とかなりの高水準。
自己資本比率は45.0とバランスが取れている。
積極的な資金投入で成長を目指しながらリスク管理もしっかりと出来ている印象を受ける。
キャッシュフローも問題ない。
テクニカル分析

今年2月に天井を形成後、6月まで緩やかに下降してきて一服。
その後はレンジを形成している。
4000円を底値として買いに行けるがその場合、離隔目標が設定しずらい。
ロスカットが1株あたり1000円と非常に大きいのに6000円を目標にするわけにはいかない。
ここで買っていく以上は高値の更新を狙いたいがここまで停滞されてしまうと一度動きを見極めたいところだ。
いずれにせよ現状は上げの準備運動、下げの下準備、両方に取れる宙ぶらりんな状態なのでよほど自信がない限りは手が出せない。
UUUM総評
貸株金利10%というとんでもない金利の会社の業績はどんなものなのだろうと自分の興味からだったが、予想に反し業績はかなり良かった。
また、ファンダメンタルのPER・PBRではかなりの割高と出たが、テクニカルで見るとそこまで高騰しているというようには見えなかった。
やはり分析はファンダメンタル、テクニカルの両面から行うことが大切だと感じた。
結論
さて、結論としてUUUMは貸株金利目当てで買っていけるか。ということであるがこの分析結果から言うとやはりリスクのほうが大きいだろう。
決して絶対にやめておけという銘柄ではないが、期待が下火になり過熱感が薄れれば少なく見積もっても3000円程度までの値下がりは十分考えられる。
高値更新の強い材料も見当たらない以上、どうしても値下がりリスクのほうが目立ってしまう。
また、貸株金利が毎月変動するということにも注意が必要だ。
11月の金利は10%となっているが、12月には金利が0.1%に戻される可能性もゼロではない。
そうなった時はきっと株価は買った時と比べ信じられないくらい下がっていることだろう。
優待もなければ配当もない銘柄を塩漬けにすることほど悲しいことはない。
幸い高配当、好業績で割安な銘柄はまだいくつかあるので正攻法で攻めたほうがよさそうである。
