ブログなんてものをやっていると頭は常に「明日は何を書こうか」である。
一般の会社員が日常でどの程度アイディアを出したり考えをまとめることを要求されるのかはわからないが、企画書を出すよう求められたり、事業のプレゼンをやる機会がたまにはあるはずだ。
ブロガーは常にネタに、記事構成に頭を悩ませているが、その分今まで記事を書いてきたノウハウもあるし奥の手や緊急避難の技も一つや2つ持っているものである。
だが普段文章を書きなれていない人がいきなり企画書を出せと言われてもどのように書いたらいいかわからないし、文章構成をどのようにしたらいいかなど分かるはずもない。
アイディアでもそうだ。
次に出す新商品のコンセプトは?
そもそもどんなものがいい?
意見を求められてその場で「こんなのはどうですか?」と提案できるのは天才である。
普通は見当もつかないものである。
だから企画を持ち帰って仕事中会社で、家で、うんうん唸って考えるわけなのだがなかなかいいアイディアというのは生まれないものである。
何かアイディアを出そう、考えをまとめようとすると人は一生懸命頭を使う。集中する。
だがこれをやればやるほどアイディアは浮かばないし、考えもまとまらない。
実はこれはある意味当然のことなのだ。
例えばダーツをやっている自分を想像してもらいたい。

せっかくなので的に当たったら10万円としよう。
チャンスは一度切り。
あなたはとても集中するだろう。
自然に考えれば集中すれば集中するほど的に当たる確率は高くなる。
集中しすぎると力むからだめだとか、いかにリラックスするかが大事だとかいうのはワンランク上の人間の特別なメンタリズムである。
元来、動物は目標を達成するために集中するように出来ている。
だがこれは言い換えると集中すればするほどダーツの的以外見えなくなるということでもある。
つまり集中すればするほど目的への達成率は高まるが、同時に目的以外への視野は狭まってしまうことを意味する。
もし企画書の提出を求められた時、あなたがすでに何を企画しどのように戦略を立て売り出していくかがすでに決まっており、あとはまとめるだけ。などといったような場合はひたすら集中してパソコンと向き合えば良い。
だがそもそもに案が思いつかない。あるがありすぎて考えがまとまらない、つまりダーツの的が多すぎてどの的に投げたらいいかわからない状態でひとつの的に集中してしまうのはもっと当てやすい他の的を見落としてしまう可能性が高く、逆効果なのだ。
このような時こそ集中するのではなく、リラックスして考えるのが望ましい。
そしてこれは私だけではないはずだ。
仕事の画期的なアイディアや閃きは決まって会議室ではなく、風呂に浸かっているときやぼーっとテレビを見ているときやトイレで用を足しているときや信号待ちをしている時だったりする。
会議室で考え抜いて考え抜いていいアイディアを出した記憶は私にはない。
会議室でアイディアが出る時は誰かが言った突拍子もない発言に場が和んだりした瞬間だ。
誤解してほしくないのは「考えても仕方がないからゲームしよう!」などという現実逃避とは別であるということである。
あくまでもリラックスしながら考えるという取り組み方の話であることを理解してほしい。
そしてこのリラックスしながら考えるということに最も適しているのがウォーキングなのである。

これは百聞は一見にしかずなので一度やってみてほしいのだがウォーキングの最中というのは実に不思議なほど考えがまとまる。
例えばリラックスしていて何も考えていない究極の状態は寝ているときなのだが、寝ている時は最高にリラックス出来ているが何も考えていない。
したがって朝起きたらアイディアが溢れているなんてことは絶対にない。
気分転換にゲームをするということもリラックスのひとつとしてあり得るが、これも実はゲームに集中してしまっているのでどちらかと言うと現実逃避だ。
溜まったストレスを吐き出したいときには非常に有効だがクリエイティブな発想を求めるときや、考えをまとめたい時にはゲームやテレビの視聴など、趣味や他の作業に没頭することは向かないのだ。
一方、ウォーキングをする際、何も考えず行うことは不可能に近い。人や車も通るし、視覚、聴覚からいろいろな情報が入り、刺激を受けるので一定の集中が必要になる。
だが、ダーツの矢を的に当てるときほどの集中もしない。
このリラックスと集中の微妙なバランス関係がアイディアを生み出す、考えをまとめるという作業に非常に適しているのだと私は考えている。
専門家ではないのでこれについて科学的な根拠は提示できないが、私の経験上、頭が沸騰しそうになったら散歩に出る。そして帰ってくると必ずと行っていいほど筆が進むのである。
さらに血糖値も下がり、コレステロール、尿酸値も下がる。
肝機能も回復して万々歳の習慣である。
最近考えすぎて頭が破裂しそう、考えすぎて逆にわからなくなったという人は是非30分程度のウォーキング、散歩を試してみてほしい。
必ず何らかの発見があるはずだ。
注意
スマホ依存が強い人、持っているとどうしてもいじってしまうという人はスマホは家に置いていってほしい。
リラックス効果が得られるウォーキングもスマホの操作を加えたマルチタスクではどんな人でも集中してしまう。
帰ってきてもスマホで何を見たかくらいしか覚えていないだろう。
スマホを待たずに出歩くという行為そのものがいい経験になるかもしれない。