私が長期投資の口座を置いているカブドットコム証券は12月1日よりauカブコム証券になったそうだ。
名前が変わってこれからは貸株に力を入れていくのかauカブコム証券では貸株貸借料2倍キャンペーンを行っている。
通常貸株は金利が0.1%と、とても低いのであまり魅力はないのだが中には10%を超えるような高金利銘柄も存在する。
そんな高金利銘柄の貸借料が2倍になれば年利20%、月利1.67%とという驚異的な数字になる。
貸株目当ての株購入は前回このブログで否定的な意見を述べているが、年利20%なら金利目当てで買うのもありかもしれない。
今回は金利が20%の銘柄の一つ、3906 ALBERTについて分析してみたいと思う。

3906 ALBERT
ALBERTはビッグデータを活用したAI、ディープラーニングでデータ分析やシステム開発を行う会社である。
AIは株の自動取引、車の自動運転、その他IoTや広告事業などありとあらゆる分野に活用が期待されている。
店舗型のスーパーなど、業界全体が下火になってしまっているものと比べれば投資に持って来いの分野だ。
だがその分競争も激しい。
AIは確かに今後間違いなく成長し、お金を生み出していくが、それはAIの開発競争に勝っていければの話であり、ALBERTが勝ち残れるかは別問題だ。

日足チャートだけを見ると天井の後、緩やかに下落してきているので絶好の押し目買いのポイントにも見える。
だがファンダメンタル要因を考慮すると、株価の大半が期待で構成されている以上、下げの2波目が来る可能性は高く、危険である。
10年レベルの長期投資であれば押し目買いし、さらに下がればその都度買い増しという戦法も取れるがなにかこの会社は若い。
下がっては買い増し、下がっては買い増し、倒産。
などという最悪のシナリオも想定できるので長期投資にもお勧めできない。

業績を見ると当期利益は約2億5000万円の黒字。
去年の決算は確かに赤字だが、その額は7000万円ほど。
利益としては3億円程度しか伸びていないのに株価は1000円前後から1万5000円と約15倍に跳ね上がっている。
これは完全に業績ではなくAIに対する期待によって上がっている。
つまりALBERTの株価は業績を反映したものではなく、期待によって膨らんだものなので風船と同じ状態だ。
何かの拍子パチンと割れ、暴落する危険がある。
AI分野の銘柄に投資をしたいと考えている場合でもどこかで必ず起きるであろう暴落を待ってから買うか、割安な銘柄を探すのが賢明に思う。
4425 Kudan
Kudanはコンピュータの目になるAPを開発する会社である。
AIの発達により、画像認識にも注目が集まっているのでこちらも成長分野と言えるだろう。

業績の推移は3社の中では一番きれいである。
初年度こそ赤字だが、その後順当に利益を伸ばしていっている。
ただこちらも非常に若い会社なので迂闊に数字を信用することが出来ない。
新たな技術が生まれれば今まで研究していたことがあっという間に陳腐化しかねない厳しい分野でもあるので注意が必要だ。

テクニカルで見ても株価は絶好の安値圏にいるように見える。
連続増益であるにも関わらず株価が安値で推移している
これは私の投資基準に当てはまるが気になる点がある。
- 最先端分野である
- 会社が非常に若い
- 株価そのものが高い
この3点だ。
最先端分野は期待で業績以上の株価が付きやすいし、期待が潰れればあっという間に暴落するギャンブル性の高い銘柄だ。
普通は手を出したくない。
会社が若いことも気になる。
会社の実績が少ないと、今の会社の状態が調子が良いのか普通なのか不調なのかの判断が付きにくい。
最悪のパターンは今この瞬間が会社のピークであり、今後下る一方である場合だ。
会社に歴史があれば「あの時よりはましだろう」だとか「あの時でさえ株価はいくらだったのだから」という判断がつくのである。
そして最後の懸念は株価そのものの高さである。
発行株数が少ないだけなのかもしれないが1株9000円はやはり高い。
仮に10円の株であればどんなに値下がりしても1株あたり10円しか損をしないが、1株9000円の株であれば最大で9000円損をする可能性があるということだ。
倒産して0円にならないまでも今後値下がりが続き、2000円前後で落ち着きましたなんてこともありうる。
新興株で株価が高いものはちょっと手が出しにくい。
6166 中村超硬
最後は中村超硬。
ALBERT、KudanとIT分野である中、この中村超硬のみ機械・製造関連銘柄だ。
主に金属部品を切断するダイヤモンドワイヤーに強みを持つ会社だ。

この銘柄はとにかく安い。
日足で見たテクニカルでもそうだが株価そのものも1000円前後。
どんなに損をしても1株あたり1000円である。
今回紹介した3銘柄の中で最も安全な銘柄である。
テクニカル分析をすると株価はほぼボリンジャーバンド内に収まり、安定していたが今年の10月に急に株価が跳ね上がる現象、スプラッシュを起こした。
その後、再び値動きは落ち着いていたが最近になってまた値上がりを始めた。
2度目のスプラッシュによくみられる光景なので運が良ければ爆益にありつけるかもしれない。

だが一時期7800円を付けた株価が317円まで低迷した銘柄だけにその業績は非常に安定しない。
長期投資では絶対に買いたくないタイプの銘柄の一つだ。
だがここ1年だけで見れば昨年の大赤字から一転、2億5000万円の黒字予想なので買っていけなくもない銘柄だ。
買うならKudanか中村超硬
結論として買いに行けるのはKudanか中村超硬だろう。
ALBERTは絶賛下降中なので底が見えない。
もともとは1000円前後で推移していた銘柄なので最悪そこまで下がる覚悟を持って買う必要がある。
将来性のKudan、安全の中村超硬
Kudanは扱う分野が最先端ということで夢がある。
10年後に株価が何倍かになっている可能性も十分にあるので普通に投資対象として入れていいだろう。
ただリスクが大きいことだけは覚悟しておく必要がある。
他者との競争に負ければ普通に倒産するし、株価が何分の1になるというのは十分に考えられる話だ。
ハイリスクハイリターンの銘柄と覚悟しよう。
最後中村超硬は長期には向かないが貸株目当ての買いには最も適している。
キャンペーンは1月31日までなので今買って1月31日に売る。こんな戦略もありだ。