コラム

NHKのスクランブル放送には慎重な議論が必要だ

先の参議院選挙においてNHKから国民を守る党が1議席を獲得した。

泡沫候補としてあまり注目している人はいなかったがインパクトとわかりやすい党名、昔のマック赤坂氏を思い出させるようなユニークな政見放送でその名前を知っている人も多かったのではと思う。


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このような奇抜な候補者は選挙となると必ず現れるものであるが議席が取れてしまうことは大変珍しい。

選挙関係者、メディアも驚きを隠せないようだ。

さて、このNHKから国民を守る党。主張はいろいろとあるようだが一番はNHK放送のスクランブル化の実現であろう。

スクランブル化とは簡単に言えば放送する電波に暗号をかけ、鍵を使わなければ放送を視聴できないようにすることである。

電気やガスなどはもちろん、命に直結する水道さえ料金を支払わなければ供給は止められる。

それと同じようにNHKの放送も受信料を支払わない人には放送を止めるようにしようというものである。

これによってNHKを視聴しているにも関わらず、受信料を支払っていない人などは受信料を支払わざるを得ないし、何よりもNHKを見ていない、見たくない人は受信料を支払わないという選択が出来るようになる。

現在の放送法ではNHKの受信料は受信環境が整ってさえいれば、見ている、見ていないに関わらず、受信料を支払わなければならない。

最近ではインターネットの普及もあり、自宅にテレビがないという家庭も珍しくなくなったがNHKはケータイやスマホ、カーナビ、そしてインターネットでも受信が可能であるため、現代で生活するうえで「受信環境が整っていない」つまりは受信料を支払う必要のない国民は非常に稀であろう。

ほぼ強制的ともいえる受信料の徴収は明らかに不公平で、見る見ないの選択権を国民に与えるべきだというのが大本の主張である。

一見、見たい人だけがお金を払って見たくない人はお金を払わなくていいという合理的な主張に思えるがこのNHK放送のスクランブル化には慎重な議論が必要だと考えている。

それはNHKだからこそ出来る放送があるからだ。

国営放送でなければ民間放送でもない放送局

NHKの理念に正確・公正・公平がある。

この理念を追求するうえでNHKの立場は大変都合がいい。

もしNHKが国営放送であるならば国にとって都合の悪い情報は流しずらい。

また、流したとしても

「何か裏があるのでは…」

「どういう意図がるのか…」

など勘ぐってしまい、情報を素直に受け取ることが出来ない。

一方、民間放送は会社である。株式会社である。

彼らの放送はバラエティー番組からニュース報道に至るまでスポンサーの出資で成り立っている。

つまり、国営放送が国にとって不都合な情報を流しずらいように、スポンサーにとって不都合な情報は流しにくい。

また、視聴者の興味を引こうとするあまりに事実より誇張した表現を使用したり、想像などで時に視聴者をミスリードすることがある。

例えばグルメリポートの番組などを思い浮かべて欲しい。

某番組で有名グルメリポーターに不味い料理を食べさせたらどのようなリポートをするかという企画があった。

リポーターにより十人十色のレポートをするが誰一人として「まずい」とは決して言わない。

実際に不味い料理を出しているわけだから不味いとリポートしなければ事実と反するはずである。

しかしながら誰もまずいと言わないどころか、不味いことをうまくごまかせたリポーターが賛辞される始末である。

また、殺人事件などがあると容疑者が逮捕された時点でまるでその人が犯人であるかのように報道したり、少ない事実から犯人像や性格などを視聴者が興味を引くような想像で語ったりする。

専門家の分析のもとに行われるので、予想が当たることは多いが、想像でしゃべるので時に事実と異なる印象を視聴者に与えることになる。

これらのことが起こるとネットではしばしば「マスゴミ」などと揶揄されるが収入が視聴率に直結する民間放送ではこのようなことが起きるのは必然ともいえる。

放送される内容が正確・公正・公平であることは当たり前のように思うがお金が関係する以上、これらを実現するのは民間には非常に難しいのである。

NHKがスクランブル放送になった時のことを考えてみよう。

面白い番組を作れば皆がそれを見るために受信料を支払ってくれる。

ウケが悪い番組を作れば見たい人が減り、受信料を払わなくなる。

つまりNHKの番組制作は視聴率に一喜一憂するようになり、正確・公正・公平である前に視聴率が取れる番組が優先されるようになってしまうということだ。

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この政見放送ではNHKの不祥事、受信料を踏み倒すにはどうしたらよいかなどを事細かに説明している。

もしNHKがスクランブル放送されていて視聴率に収入が依存するような状況だった場合にこのようなNHKを非難する内容を放送するだろうか。

NHKから国民を守る党の政見放送を堂々と流せることこそがNHKの強みなのだ。

民間放送局や新聞各社、週刊誌なども外部の不祥事やスキャンダルは大好きだ。

その対象が国や行政になれば祭りかというほどの大盛り上がりだ。

だが自社の不祥事やスキャンダルはどのメディアも積極的に報道しない。

隠ぺいしないまでも消極的だ。

フジテレビで何か不祥事があったとしてそれをワイドナショーで大々的に取り上げて報道したりは絶対にしないのだ。

なぜならそれによって企業の信用が揺らげば収入が減ってしまうからだ。

このようなNHKを完全に敵視している団体の主張を当たり前のようにNHKで流せる。

それは国やスポンサー、そして視聴者の顔色を窺わなくとも安定した収入を得られるNHKにしか出来ない事なのである。

見たい人だけが受信料を払う。実はそれは公正・公平なのではなく、視聴者寄りに傾倒した放送局になるのだということを我々は理解しなければならない。

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