貸株制度と言うものがある。
自分が保有する株式を機関投資家などに貸し出して金利を得るというものだ。
証券会社に貸株の申請をするだけで貸し出せるようになり、売りたくなったら例え貸し出し中であってもそのまま売却できる。
株券を持っていたところで自分が使うわけではないので多少でも利益が出るのだらと言うことで私も貸株を始めた。
だが、得られる金利は基本微々たるものであるし、よくよく調べていくとデメリットもそれなりにあることが判明した。
その結果、貸株を個人で行うには割が合わないと判断したのでそのことについてここにまとめておこうと思う。
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貸株のメリット
貸株を行う上でのメリットは株を貸し出すことで得られる金利である。
株主権を行使する目的で所有している場合は別だが、資産運用で株を保有する場合、株を持っているだけでは何も利益を生み出さない。
ならばその持っている株を貸し出すことで金利を得ようというのが貸株である。
ただ持っているだけなら0円だが貸せば10円でも20円でも利益が出る。
また金利にボーナスがついている銘柄もあり、物によっては金利が10%や20%と、配当金の何倍にも及ぶものもあるので、うまくやれば貸株だけで配当利回りをはるかに超える利益を生み出すことも出来る。
貸株をおすすめしない3つの理由
使わないものを貸して貸出料を得るという一見有効的なシステムに見えるが株を貸し出すにはそれ相応のリスクがある。
貸株を行う場合はここで述べるリスクを十分に理解し、それでも貸した方が有益だと思える場合のみ貸株を行ってほしい。
貸し出し金利の高い銘柄は値下がりリスクが高い
株券を貸し出すことで得られる金利はその会社ごとによって違うが概ね0.1%~10%程度である。
どうせなら高金利の株券を貸し出して沢山金利を得たいと考えるのが人の性。
だがよく考えてほしい。
株券を借りるのは証券会社や機関投資家であるわけだが彼らは借りてきた株券をどうしているのだろうか。
それは”空売り”に利用しているのである。
貸株金利が高いということはその株を売りたいという需要が高く、貸し出す株が不足している状態だ。
つまりそれだけその株が値下がりすると考えている人が多いということである。
そんな値下がりリスクが高い銘柄を金利目当てで購入し長期保有するということがどれだけ危険かと言うことを考えてほしい。
確定申告の必要がある
貸し出す株券が不足し、金利が上がっている銘柄を除き、貸株金利は微々たるものである。
一般的に最低貸出金利は0.1%~0.2%程度が相場と言ったところか。
そんな微々たる利益であるが収入は収入である。
収入があれば申告しなければならないのが今の日本の制度であるがほとんどの証券会社では確定申告を代行してくれる特定口座を作ることが出来、ほとんどの人はこの口座を利用していることだろう。
だが貸株で得られる貸出料や配当金相当額は扱いが雑所得となるため、証券会社は代行してくれず、自分で申告する必要がある。
何万株と言う大量の株を貸し付けているならともかく、我々庶民が貸し出して得られる利益は微々たるもの。
そんなわずかな収入のためにわざわざ確定申告をしなければならないというのは労力に見合わないというべきだろう。
因みに私が利用しているauカブコム証券の最低貸出金利は0.02%と他社と比べて極端に低い。
もし貸株をやりたいなら他の証券会社を選ぶのが無難だろう。
証券会社が倒産すると株券が戻ってこない可能性がある
通常、顧客からの預かり金や株券は会社の資産とは別に管理されるので万が一証券会社が倒産してもあなたの資産は戻ってくる。
これを顧客資産の分別管理と呼ぶが、貸株に関してはこの分別管理の対象外だ。
従って、万が一利用中の証券会社が倒産してしまった場合、あなたが貸し出している株券は証券会社の資産と数えられ、あなたの手元に戻ってこない可能性があるのだ。
貸出金利は倒産リスクに見合わない
ここで貸株の金利で得られるリスクと証券会社の倒産によって株が戻ってこなくなるリスクを天秤にかけてみよう。
貸株金利を0.1%と仮定すると貸株金利で株価分の利益を回収するには1000年かかる計算になる。
つまりあなたが利用している証券会社の倒産リスクが1000年に1回以下ならば利益が出る計算になる。
証券会社の倒産リスクは確かに低いがリーマンブラザーズや山一証券の例もある。
間違いなく1000年に1度以下ということはないだろう。
つまり貸株はリスクに見合わないのである。
以上が貸株を行う上でのリスクである。
証券会社が倒産しないと仮定すれば寝かせているだけの株券は確かにもったいない。
だが自信が預けている証券会社が倒産しないだろうと考えるのは原発が100%安全だと信じるくらいバカげている。
だが証券会社に倒産するリスクがあるとは言え、それがあなたの利用する証券会社とは限らないしあなたが生きているうちとも限らない。
1000年単位で見た時、割に合わないというものなので机上の空論とも言える。
だが貸株をやる以上はこれらのリスクをしっかりと頭に入れて行ってほしい。
- 証券会社が倒産すると株券が戻ってこない可能性がある
- 得られる金利はごくわずか
- 高金利の銘柄は値下がりリスクが高い
- 確定申告が面倒くさい