やりたくないことをついつい後回しにしてしまう。
几帳面な人間以外誰しもがやってしまいがちなことだ。
私の場合で言えば比較的影響が少ないことが掃除、影響の大きいところで言えば確定申告であろうか。
個人事業主になって間もない頃は確定申告は夏休みの宿題のようなものだった。
やりたくないので後回しにする。期限が迫ってきて必要に迫られて一気にやる。
実際、私は夏休みの宿題はやらずに学校へ行ったのだが確定申告に至ってはそうはいかない。
青色申告であれば最大65万円ある控除も期限内に提出しなければ10万円まで控除を減らされてしまう。
つまり確定申告は1単価55万円の仕事と一緒なのである。
大学を卒業して初めて夏休みの宿題に追われる子どもたちの気分を味わったのである。
そんな生粋の後回し派である私も最近の申告は2月中に終えることが出来るようになった。
決して急に几帳面になったわけではない。部屋は相変わらず汚いままだし調べごとに夢中になるとついつい夜更しをしてしまったりとズボラであることは相変わらずだ。
今回はそんなズボラでも1つか2つに限ればやりたくないことを後回しにせずにすむコツを紹介したいと思う。
Contents
なぜ後回しにしてしまうのか
1日単位でスケジュールを組み、行動できるような几帳面な人間にはこいつは何を言っているのかという話だろう。
だが世の中は不公平なのだ。
天才と凡人がいるように、得意・不得意があり向き・不向きがあるのである。
出来る人間は「そんなのただ怠けているだけだ」と言うがそんなことはない。
私は整理整頓が出来ないが、整理整頓が出来る人は私の何倍も苦労して整理整頓しているわけではない。どう見てもほとんど労力を費やすこと無く、それを行っている。
これはもはや一種の才能なのである。
さて、出来る人間への僻みはこの程度にしてここからは後回しにしてしまう人間に向けて書いていく。
我々が後回しにしてしまう事は決まって緊急性はないが重要な事か重要なことであるが期間がある事である。
例えばどんなにズボラでも”月曜日は会社行くのめんどいからついついサボってしまう”なんてやつはいないはずだ。
現代人にとって会社に行くことは最重要事項と言っていい。そんな理由で会社をサボっていてはたちまちクビになってしまい、生活に困窮してしまう。
私は自営業であるため業務を見張る上司がいない。だからついつい仕事中にYou Tubeを見たりスマホをいじったりしてしまうのだがその日にやらなければならない仕事をサボってしまうことは絶対にない。
だが、週末、月末までに終わらせておけばいい仕事などはついつい後回しにしてしまう。
掃除などはその最たるもので私自身は部屋が汚くても何とも思わないので来客が無いときなど一ヶ月間まるまる掃除をしない時まである。
来客があるとなった時に必要に迫られ、慌てて掃除するのだ。
ズボラが几帳面な行動を取るのは難しい
必要に迫られないと動けない自分、いつもその場しのぎの対応をしてしまう自分に嫌気がさして「こんな自分を変えたい!」と思ったことがある人も多いだろう。私もそんなことを思ったことがある。
だがこれは我々の生まれ持った性格であり気質だ。三つ子の魂百までというように基本、今更どうしようもないことだと私は思っている。
もちろん努力次第で改善することが出来る。それは確かだ。
だが根本的に私達の性格は計画的に行動することに不向きであり、無理に行動しようとすると多大なストレスとなる。
したがっていずれ爆発してしまうのは時間の問題なのだ。
子供の頃、プロ野球選手の夢を諦めたように、何事も計画的に行い、慌てふためくこととは無縁なスタイリッシュな人間になる夢をまず捨てることから新たな一歩が始まるのだ。
ズボラな人間がやりたくないことを計画的にやるために必要なこと
我々の性格はどうしようもない。まずはそれを認めることからなのだが、だからといって何の策も講じず、風の吹くまま慌てふためいて生活しているといつか本当に期限までに間に合わなかったり、汚い部屋に客人を通すといった屈辱を味わうことになってしまう。
私は過去10回の確定申告で1度だけ期限内に申告できなかったことがある。
決してのっぴきならない事情があったわけではなく、後回しにしていた結果だ。
青色申告の場合最大65万円の控除を受けることが出来るが、申告期限内を1日でも過ぎてしまえば控除は10万円しか受けることが出来ない。
つまり、申告作業を後回しにしていた結果、私は55万円を損したのである。
私達の性格は変えられない。私達は常にこのようなリスクを背負いながら生きていかなければならないのか。
というとそんなことはないのだ。
例えズボラであってもその事柄が一つや2つであれば計画的に行ったり、事前に済ませておくことが出来るのだ。
では我々のようなズボラはどのようにして後回しにしてしまう習慣病を回避したらいいのだろうか。
苦痛が大きいのは”やり始めるまで”であることを理解する
物理の世界では”慣性の法則”というものがある。
簡単に説明すると止まっている物体はそのまま止まり続けようとするし、動いているものは動き続けようとする。
電車などに乗っていて、電車が急に発進すると、私達の体はガクッとなる。
これは私達の体が慣性の法則に従って”止まり続けようとしている”ためである。
反対に快適に車に乗っていても急ブレーキをかけられると体がガクッとなる。これも慣性の法則に従って体が動き続けようとしているためである。
実はこの慣性の法則は心の動きにもそのまま当てはめられるのである。
例えば寝ている時、目覚ましが鳴ったからと言って即座に起き上がり着替えを済ませ朝食の準備を始めることは難しい。
テレビゲームをしていて1時間経ったからと言って即座に電源を落とすことも困難だ。
逆に言うと一度やり始めてしまうと、例えそれが嫌なことであっても中途半端なところでやめることは困難なのだ。
やりたくないことをやるためには、この心に働く慣性の法則をうまく使うことで解決することが出来る。
10分でいいからやる
例えば風呂掃除をやらなくてはいけないとしよう。
通常このような場合、「やりたくないなぁ」と思い、「まずこっちをやってから」「ちょっとテレビを見てから」「買い物に行ってきてから」「明日から」と言い訳をして先延ばし先延ばしにしてしまう。
そこで心に作用する慣性の法則を逆手に取る。
10分でいいからやってみるのである。
もしこれで10分だけ風呂掃除を出来たら8割方成功である。
なぜなら慣性の法則によって作業を始めてしまった以上、10分で作業を中断することが困難になるからだ。
”せっかく始めたのだから切のいいところまでやってしまおう”となる。
大切なのはやり始めるまでの工夫である。やり始めてさえしまえばおそらく殆どの人がそれほどの苦痛もなく、区切りのいいところまで作業を継続できるはずだ。
したがって10分すら風呂掃除なんかやりたくない!というのであれば5分でもいい。3分でもいいのだ。
それすら無理なら掃除用具を持って風呂場に行くだけでもいい
そこまで行動したからそのまま何もせず別の行動に移るというのは案外難しいのだ。
そんなことはない、私は風呂場に掃除用具を持っていって掃除せずに帰ってこれる自信がある!という人でも諦めるのはまだ早い。
掃除用具を持って風呂場に通う習慣を1週間続けてみよう。
「今日くらいこの黒いとこを少し擦ってやるか」という気持ちになるものである。
過信するな!ズボラに出来る行動管理はせいぜい数個
この方法で私は提出期限に余裕を持って確定申告が出来るようになった。
気が乗らない日でも1ヶ月分は作業する、30分はやる、やよいの青色申告をダブルクリックだけはするというように初動だけ頑張るのだ。
だからと言って忘れてはいけない!
私達は所詮、ズボラであるということを。
私達は基本的にやりたくないことを計画的に行うことが出来ない性格・気質である。
体格に恵まれない舞の海が猫騙しを使って勝つことは出来ても毎度猫騙しで勝ち続けることは出来ないのと同じように、一つ二つのことならなんとかなるが、あれもこれもすべてこの理屈で片付けようとしても1週間もすれば初動すら嫌になってやらなくなるだろう。
大切なのは我々は計画的行動をとる才能がないということを自覚することだ。
ここが分かってないとどんなメソッドも我々は失敗する。
慣性の法則を使って計画的に行う事柄はやり損ねると仕事や生活に重大な支障をきたす重要なこと、一つか二つ、多くても三つ程度にすることが大切だ。